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インプラント治療の症例(40代・女性)|被せ物が何度も外れる前歯4本を歯根破折の診断から抜歯即時インプラントで再建

著者:安田 佑

症例

治療前

治療後

主訴 上の前歯の被せ物(クラウン)が3回外れてしまった。口の中の違和感やにおいが気になる。
治療内容 前歯4本の抜歯+抜歯即時インプラント埋入(静脈内鎮静法によるオペ)、仮歯での経過観察を経て最終的な被せ物を装着
治療期間 約4か月/通院回数は初診を含め9回(2025年4月初診〜2025年8月頃に最終的な被せ物を装着)
費用 総額約130万円(一括支払い)。自由診療(保険適用外)
治療のリスク 術後の腫れ・内出血・一時的な知覚異常、まれにインプラント周囲炎による動揺・脱落が生じる可能性があります。

※記載の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。詳しい治療内容やリスクについては、診療時に担当医より詳しくご説明いたします。

※費用について:お口の状態や本数によって異なります。今回は一括でのお支払いでしたが、分割払いを選ばれる患者様も少なくありません。
※治療法について:抜歯と同時にインプラントを入れる方法は、あごの骨の状態によって適用できない場合があります。
※治療期間や経過には個人差があります。

今回は、上の前歯の被せ物が何度も外れて、当院にご来院された40代女性の患者様の症例をご紹介します。

今回の事例は、被せ物が外れる度に、別の医院様で付け直しの応急処置を受けておられた患者様です。検査を行ってみると、被せ物の脱離だけに限らず、過去に神経を治療していた前歯に重度の虫歯が広がっていました。

このままでは、被せ物のやり直しだけでは再発を繰り返す危険性があり、お口全体の再建を見据えた適切な処置が必要な状態です。

患者様からは、ご旅行を控えていて安心して楽しみたい、という強いご要望もありましたので、今後の健康なお口元を見据えて、以下の2つの治療法を提案しました。

  • 抜歯即時インプラント
  • 静脈内鎮静法

被せ物が外れたのをきっかけにご来院

患者様は20〜30代の頃から前歯の被せ物が外れる度、応急処置として再装着を繰り返しておられました。しかし、何度も再装着を続ければ違和感もありますし、やはりまた同じことの繰り返しとなるのではと懸念が残ります。

そのため、今回は3回目の脱離をきっかけに「もう同じ治療の繰り返しから抜け出したい」と、当院へご来院いただきました。

気になったのは「外れるリスク」と「見た目」

初診でのカウンセリングでは、間近に控えている旅行を心から楽しみたいという気持ちに加えて、以下の2つのお悩みをお伝えいただきました。

  • 被せ物が何度も外れる不安
  • 4本の前歯の大きさ・見た目のバランス

さらにお話を聞いてみると、口の中のにおいやできもののような違和感があるとのこと。

私が応急処置としてこのまま同じ対応を続けても、改善できるとは正直なところ思えません。そのため、より精密に状況を把握するためにも、検査を受けていただくことにしました。

初診の検査で見つかった『周辺の歯の問題』

初診の検査では、まずは患者様のお口全体や顎の状態を把握できるパノラマレントゲン撮影を行いました。これなら、脱離した被せ物がある歯のほかに、見た目が気になっている上の前歯も含めて確認できます。

パノラマレントゲン写真

分かりにくいかもしれませんが、前歯の内部に深刻な虫歯が侵食しており、歯並びや歯茎のライン(高さ)のバランスが崩れた状態でした。

この時点で私の経験上、パッとみただけでも「被せ物が外れた箇所を治すだけでは、絶対に根本解決にはならない」という強い予感がありました。

もし、この予感が当たっていれば、応急処置だけでは被せ物の脱離に限らず、ほかの歯や歯茎にも影響を及ぼしてしまいかねません。そのため、現状をご説明したうえで承諾をいただき、以下に挙げた3つの精密検査を進めることにしました。

  • 【デンタルレントゲン】お口の中に小さなフィルムやセンサーを入れて、特定の歯やその周りの骨を局所的に撮影する検査
  • 【CT検査】歯や顎の骨、神経、血管の位置を立体画像で詳しく確認する検査
  • 【歯周ポケット検査】歯と歯ぐきの境目にあるすき間の深さを確認する検査

精密検査から見えてきた「ボロボロになった前歯」

まず、デンタルレントゲンの結果です。左から2番目の歯には過去の治療でプラスチックが詰められたまま、長期間放置されていたことが見て分かりました。

デンタルレントゲン写真

実は、神経を取った歯は被せ物で保護しないまま使い続けると、内部から徐々にもろくなる性質があります。今回はその状態が長年続いていたことこそが、繰り返し外れたり、欠けたりしていた根本原因でした。

より詳細に歯の状態を知るため、続いてCT検査による立体画像で細かく確認していきました。

CT画像 矢印で示した骨の変化部分

これは、実際に撮影した左から見た横顔のCT写真です。矢印の部分をみると、骨のすぐ右あたりに細く薄い白い線がすーっと入っています。

実はこれ、目に見えないところで歯の状態がかなり悪化している兆候です。

CT画像 赤丸で示した膿の溜まり部分

もう1つ、見逃してはならないのが赤丸で囲っている部分です。ただの影のように見えるかもしれませんが、膿(うみ)が溜まっています。この状態を放っておくわけにはいきませんよね。

CT立体画像(上の前歯4本)

次に、全体を移した実際のCT写真です。わかりにくいかもしれませんが、2本の前歯を見てみると、先ほど見た横顔のCT写真と同様に、歯の先端が黒くなっていて膿が溜まっています。

本来、この位置に歯が存在しているはずです。しかし、症状が悪化して歯の構造自体がかなり薄くなっています。現在の状態で抜歯してしまえば、以下のリスクが考えられます。

  • 歯茎が変形して歯のバランスが崩れる
  • 歯と歯茎のすき間に汚れが溜まりやすくなる

CT画像(複数方向の断面)

これは、上の前歯4本を映し出したCT写真です。外からは綺麗に見える被せ物・詰め物の「内部」では、知らず知らずのうちに虫歯が進行しています。

特に左から2番目の歯は、歯の頭の部分はほとんど残っておらず、最も重い虫歯(C4)まで進行していました。進行状態から見ても、歯の神経(歯髄)を取り除く「抜髄(ばつずい)治療」が必要な状態です。

※わかりやすい例だけお伝えしていますが、この患者様はほかにも前歯とは別に右下の奥歯にも虫歯が見つかっています。本人にお伝えしたうえ、今回の前歯のトラブルとは分けて計画を進めることにしました。

患者様の負担を考えたうえで3つの治療方針をご提案

ここまでの検査結果をもとに、患者様にはその場で以下の3つの選択肢のメリットやリスクとあわせてお話しさせていただきました。

  1. 今の被せ物をそのまま付け直して様子を見る
  2. 根管治療をやり直してなんとかご自身の歯を残す
  3. 問題のある歯を抜いてインプラントでお口全体を再建する

3つ目の方法を話したときに、まさか前歯を4本も抜くことになるとは思っていなかったと患者様もとても驚かれたご様子でした。

私も、できる限り患者様の歯を残したい。そういった気持ちはありますが、既に歯の根がかなり薄くなっていて、割れてしまうリスクが高い状態です。遠からず、再発や破折を繰り返してしまう可能性も高いです。

ただ幸いにも、「今」手を打てば、抜歯と同時にその日のうちにインプラントを埋入する(抜歯即時インプラント)治療が十分に可能な状態です。骨や歯茎の形をきれいに維持するためにも、このタイミングでの適切な処置が重要だと正直にお伝えしました。

ちょうど次回クリーニングのご予約が入っていたため、一度ご自宅でじっくりご検討いただき、次回のタイミングで改めて治療を進めるご意向を確認させていただきました。

今後の生活を安心して過ごすために選んだインプラント治療

患者様とじっくり相談した結果、今後二度と同じトラブルで悩まない根本的な治療を目指すため、3つ目の【抜歯とインプラント治療】を行うことになりました。

  • 被せ物が外れるたびに応急処置を繰り返す
  • お口の中のにおいや違和感といった日常生活のストレスがある

それだけに限らず、「大切な旅行を安心して迎えたい」という想いもありました。そのため、その場しのぎの治療ではなく「今後二度と同じトラブルで悩まないための根本的な治療」とご納得いただいています。

手術当日は静脈内鎮静法で負担を最小限に

検査の結果をもとに、手術への恐怖心や痛みを最小限に抑えるため、今回は「静脈内鎮静法」の治療プランで進めていきました。

※静脈内鎮静法…点滴から鎮静剤を投与し、うとうとと眠っているような状態で安全に手術を進める方法

当院では、インプラントの埋入時にドリルの位置や角度をリアルタイムの3Dモニターで確認できる「サージカルガイド(Xガイド)」を使います。これなら、事前にシミュレーションした通りの正確な位置・角度に埋入できます。

また、あらかじめ作製しておいた特製ガイドに沿って骨と歯茎の形をきれいに整え、その日のうちに仮歯まで装着しました。

今回のケースで取り扱った静脈内鎮静法と抜歯即時インプラントの組み合わせは、患者様から手術中の記憶がほとんどない、負担を感じなかったなどと好評な方法で、当院でも状況に応じておすすめしています。

【抜歯即時インプラント】抜歯と診断された方へ

仮歯で経過を見守り、最終的な被せ物を装着

仮歯を装着できれば、経過観察となります。今回、患者様の顎の骨が少し柔らかい状態で、インプラントと骨がしっかり結合するか不安が残りました。そのため、通常よりも長めの約3か月間、仮歯の状態で経過を見ていく期間を設けています。

患者様にもご協力いただき、定期的なメインテナンス(※)で歯茎の状態や噛み合わせ、磨き残しがないかを丁寧にチェックしました。

※当院のインプラント保証(インプラント体:10年保証/上部構造:5年保証)を継続するためにも、定期検診のご受診をお願いしております。

検査で骨との結合が良好だと確認できた段階で、インプラント用の土台(アバットメント)を取り付けて最終的な被せ物を装着。懸念していた噛み合わせも戻り、治療が完了しました。

治療から1年、日々のメンテナンスで健康を維持

インプラントというものは、長持ちさせるためにご自宅での毎日のブラッシングとクリニックでの定期的なケアが欠かせません。

当院でも通常のクリーニングと、年に1回ほどエアフローという微細な粒子を使った専門クリーニングを行い、インプラント周囲の目に見えない汚れまでキレイに除去します。

※エアフロー費用につきましては、受付またはスタッフまでお気軽にお尋ねください。

なお、当院では、インプラント保証を継続いただくためにも、定期検診をお願いしています。詳しくは、下記ページもぜひご覧ください。

当院のインプラントのメインテナンスについて

今回のインプラント治療で当院がこだわったポイント

今回の患者様からは、治療する前からもともと歯が小さいのが気になっており、できれば歯並びやバランスもキレイに整えたいという想いをお伝えいただいておりました。そのため、当院がこれまで培った経験と受け継がれた技術でオーダーメイドのマウスピース型装置を作製し、「患者様にとって理想的な歯茎のライン」を緻密に書き込みました。

まだ歯が残っている状態でお口の型を採り、特製マウスピースをガイドとして歯茎にかぶせて、どこまで骨と歯茎を整えれば理想のラインになるか。こうした抜歯した後の歯茎の形を整える工程は、私のように歯科医師の目視や経験・感覚に頼る部分が少なくありません。

だからこそ、当院では専用の機器を導入するだけに限らず、医師が自己研鑽を欠かさないことが大切だと考えています。

「被せ物が何度も外れてしまう」とお悩みの方へ

被せ物が外れる原因は、お口の状態によってさまざまです。「まだ痛くないし大丈夫かな」と自己判断で放置せず、まずは一度、来て確認してください。抜歯になる方ばかりではありません。歯を残せる場合も多いので、どんな状態でも大丈夫です。

歯の状態を見てもらいたい方は、こちらからご予約ください。

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(保険適用3割負担の場合。また症状・検査内容により多少変動いたします)

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